登山を始めるにあたって、登山靴はしっかり選ぶ方が多いと思いますが、実は靴下も同じくらい、いやそれ以上に重要なアイテムなんです。
適切な登山用靴下を選ぶことで、足の疲労を軽減し、靴擦れや水ぶくれを防ぎ、快適な山歩きをサポートしてくれるよ。
登山用靴下一つで、登山の快適性が格段にアップし、冒険が変わると言っても過言ではありません。
登山用靴下が「普通」と違うワケ
とは言え、登山用靴下って結構高いのよね……
普段使いの靴下と比べて値段が高いと感じるかもしれませんが、登山用靴下は登山特有の環境や負荷に対応するために、特別な機能が備わっています。
どんな特別機能があるのかな?
高いクッション性
登山用靴下の多くは、足裏からの衝撃を和らげるためにパイル編みが施されています。このクッション性により、長時間の歩行でも足が疲れにくくなります。
重い荷物を背負う登山では特に重要な機能です。
優れた通気性・吸湿性・保温性
登山靴は防水性が高い反面、内部が蒸れやすいという弱点があります。
登山用靴下は通気性や吸湿性の高い素材や編み方を取り入れることで、汗による蒸れを抑えてドライな状態を保ちます。
これは暑い時期だけでなく、汗冷えを防ぎたい冬にも重要です。また、メリノウールなどの素材を使った靴下は保温性にも優れており、寒い環境でも足元を冷えにくくします。
皮膚の保護
靴と足の間の摩擦(ズレ)によって起きる靴擦れや水ぶくれは、登山の大きなトラブルの一つです。登山用靴下は生地が厚く、摩擦から足の皮膚を保護する役割も担います。
これらの機能により、登山用靴下は長時間の厳しい山歩きでも足の快適さと安全を守ってくれるのです。
自分にぴったりの登山用靴下を見つけるには?
登山用靴下を選ぶ際は、ご自身の登山靴や山行スタイルに合わせることが大切です。
次のポイントに注目してみて!
1. 丈と厚み
登山靴のカットや登山をする季節・目的に合わせて選びます。
丈
靴の丈よりも長い靴下を選びましょう。
ローカットの靴にはノーショー(くるぶしが出る)やクォーター(くるぶしより上)、ミッドカットやハイカットの靴にはクルー(ふくらはぎの真ん中)が一般的です。冬山用ブーツにはハイソックスも適しています。
クルー丈は様々な靴に合わせやすく、無難な選択肢です。
厚み
夏の低山には通気性・速乾性の高い薄手、3シーズン登山には汎用性の高い中厚手がおすすめ。
長時間歩く縦走には厚手、冬季登山には保温性やクッション性に優れた厚手~極厚手が適しています。
メーカーによって厚さの定義は異なりますが、パッケージの表記などを参考にしましょう。
2. 素材
主に化学繊維(化繊)とウール(メリノウール)があるよ。
化繊
速乾性や耐久性に優れており、比較的安価です。
汗をたくさんかく運動量の多い登山や、夏の低山におすすめです。
ウール(メリノウール)
保温性、吸湿性、防臭効果に優れています。特にメリノウールは肌触りがなめらかでチクチク感が少ないのが特徴です。
濡れても保温性を保つため、寒い時期の登山に適しています。ただし、化繊より乾きが遅く、摩耗に弱い傾向があります。
最近は化繊とウールを混合し、それぞれの弱点を補ったハイブリッド素材の靴下が多いです。
3. 形状
ラウンド型
指先が分かれていない一般的な形。ラインナップが豊富で選びやすいです。
5本指ソックス
指が独立しているため、指間の蒸れを軽減し、指に力が入りやすいため歩行が安定しやすいメリットがあります。
先割れタイプ
親指とそれ以外の指に分かれたタイプ。親指に力が入りやすく、重心を安定させやすいとされます。
4. 機能
足への負担を軽減する機能を持つモデルもあります。
アーチサポート
土踏まずを支え、地面からの衝撃を吸収・分散して疲労を軽減します。長距離登山におすすめです。
着圧ソックス
ふくらはぎをサポートし、血流循環を促して疲れを溜めにくくする効果が期待できます。
おすすめのブランド・モデル例
様々なメーカーが登山用靴下を販売しています。いくつかのブランドと特徴的なモデルを例として挙げます。
モンベル
ウイックロンやメリノウールなど多様な素材を使用したモデルがあります。アーチサポート機能を持つサポーテックシリーズも展開しています。エクスペディションソックスは最高水準の保温力を持つ超極厚手モデルです。
スマートウール
良質なメリノウールを使ったソックスで知られ、肌触りの良さに定評があります。ライトクッション、フルクッション、マウンテニアなど、厚みのバリエーションも豊富です。
ダーンタフ
耐久性に優れ、「生涯保証」を謳っていることで有名です。メリノウールを高密度に編み込んだ丈夫な生地が特徴です。ハイカーシリーズは人気があります。
キャラバン
RLメリノ・レトロトレッキングはメリノウールを多く使用した肌触りの良いモデル。RLドライノヴァ・マダラックスは吸汗速乾性に優れた化繊ソックスで、初心者にもおすすめ。防水ソックスのデクシェルも取り扱っています。
足袋型
ヤマチューン
独自のアーチサポート機能を持つモデルや、メリノウールと化繊を組み合わせた耐久性の高いモデルがあります。
5本指
この他にも、インジンジ (5本指ソックス)、アイスブレイカー、サーミック、オレノ、ミズノ、サロモン、オカモト、千代治のくつ下、ガッツマン、ラドウェザー など、様々なブランドから多様な特徴を持つ登山用靴下が出ています。
重ね履きと防水ソックスについて
重ね履き
昔は靴擦れ防止のために重ね履きが主流でしたが、最近の登山用靴下は1枚でも十分な機能を持っているため、基本的には1枚履きが一般的です。
重ね履きをすると蒸れやすくなったり、過度な着圧で足が冷えやすくなるデメリットもあります。
ただし、防寒や吸汗発散の促進を目的として、薄手のインナーソックスを重ねる方法もあります。重ね履きする場合は、サイズ選びや素材の組み合わせに注意が必要です。
防水ソックス
アウター、インナー、そして防水透湿性素材の層からなる3層構造の靴下です。
靴自体が防水でも、内部に水が入ってしまうと不快ですが、防水ソックスがあれば足自体を濡らさずに済みます。
濡れた登山道や沢沿いを歩く際、あるいは濡れてしまったシューズを履く際などに有効です。透湿性がありますが通気性は低いため、汗が多い場合は内部が蒸れる可能性もあります。
買い替えの目安とお手入れ
登山用靴下は、内側のパイルがつぶれてクッション性が低下した頃が買い替え時です。
月に1~2回の登山であれば、2~3年が目安とされています。
長持ちさせるためには、洗濯時に泥汚れを落とし、靴下を裏返して洗濯ネットに入れるのがおすすめです。
注意
乾燥機の使用や直射日光での乾燥は劣化の原因になるため避けましょう。
正しい靴下選びで、もっと快適な登山へ!
登山用靴下は単なる衣類ではなく、足を保護し、快適な歩行を支える大切なギアです。
クッション性、通気性、保温性といった機能は、普段使いの靴下にはない登山特有の魅力ね。
季節や山行スタイル、そしてご自身の足に合った一足を選ぶことで、靴擦れや疲労といったトラブルを防ぎ、より安全で楽しい登山を実現できます。
今回ご紹介した選び方のポイントやおすすめ情報を参考に、ぜひ最適な登山用靴下を見つけて、快適な山旅を楽しんでください!