「これから登山を始めたいけど、どんな登山靴を選べばいいの?」
そう思っている登山初心者の方、特に女性の皆さんへ。
登山靴選びは、快適で安全な山歩きを楽しむための最も重要な第一歩です。
本記事では、登山初心者のしゅうママがしっかりリサーチ。山歩きを台無しにしない靴選びの重要なチェックポイントと、おすすめの登山靴をご紹介していきます!
足元からみなさんを支える最高の相棒がきっと見つかるはずです。
なぜ登山靴選びがそこまで重要なのか?
登山靴選びは、単なるファッションアイテム選びとは大きく異なります。山という特殊な環境下で、みなさんの足を守り、安全と快適さを確保する「命を守る相棒」だからです。
1. 足の保護と安全確保は最優先事項
もし足に合わない靴を選んでしまうと、「ちょっと幅がキツイかも……」といった違和感から始まり、足の痛み、靴擦れ、水ぶくれ、疲労の増大、バランスを崩しての転倒や怪我に繋がりかねません。街中での靴擦れでさえ歩行が困難になることを考えると、山中でのトラブルは命に関わる致命的な問題となります。
一般的なスニーカーは平坦な道に適していますが、岩や石が多い山道では滑りやすく、捻挫や靴底の破損につながる可能性が高く、非常に危険です。登山靴は、悪路でも滑りにくく、足首を保護し、靴自体がねじれにくい構造になっていることが求められます。
2. 疲労軽減とパフォーマンス向上
登山では長時間にわたって不整地を歩くため、足にかかる負担は想像以上に大きいものです。適切なフィット感とソールの硬さを持つ登山靴は、着地時の衝撃を吸収し、足裏への負担を軽減することで、疲労を大幅に抑える効果があります。
適切に登山靴を選べば、体力に自信のない初心者でも安心して長時間の登山に挑戦できる環境が整うよ。
3. 女性特有の足型への配慮
「日本人=幅広」という話はよく聞かれ、実際、海外ブランドの登山靴は細めの足型で作られていることが多いため、「横が当たって痛い」「靴擦れしてしまった」といったトラブルが起こりがちです。
特に女性の足は、かかと周りが細めだったり、甲が薄めだったりする特徴があります。そのため、女性の足に優しく包み込むようにフィットする履き心地の良さを追求した、女性専用モデルや、日本人の足型に合わせた「ワイドモデル」を展開するブランドを選ぶことが重要です。
失敗しないための登山靴選び7つのポイント
それでは、具体的な登山靴選びのポイントを7つご紹介します。これらの点を意識することで、あなたにぴったりの一足を見つけることができるでしょう。
- 目的に合わせた「カットの高さ」を選ぶ
- 山とスタイルに合わせた「ソールの硬さ」を選ぶ
- 必須機能「防水性・透湿性」を確認する
- 「サイズ」は普段より少し大きめが基本
- 「フィット感」は実店舗で徹底的に確認する
- 「デザイン」と「機能性」のバランス
- 「メンテナンス」で寿命を延ばす
1. 目的に合わせた「カットの高さ」を選ぶ
登山靴の高さは、足首を覆う部分の長さによって「ローカット」「ミッドカット(ミドルカット)」「ハイカット」の3種類に分けられます。あなたの登山のスタイルや挑戦したい山のレベルに合わせて選びましょう。
ローカット
くるぶしが見える程度の高さで、足首を自由に動かせるのが特徴です。軽量で軽快に歩けるため、長時間履いても疲れにくい傾向があります。整備された道でのハイキング、キャンプ、高低差の少ない里山歩き、普段使いにも適しています。ただし足首のサポート力は弱いため、不整地や岩場では捻挫のリスクが高まる点に注意が必要です。
ワークマンの「高耐久アクティブハイク」や「トレックシューズエンリル」などがこのタイプに該当します。
ミッドカット(ミドルカット)
くるぶしが隠れる程度の高さで、足首を適度に固定し、サポート力と歩きやすさのバランスに優れています。多くのシーンに対応できる汎用性の高さから、登山初心者の一足目として最もおすすめされています。日帰り登山、山小屋泊、富士登山など、幅広い用途に対応します。
ワークマンの「トレックシューズアジム」は、ワークマン初のミッドカットタイプの登山靴です。
ハイカット
履き口が高く、足首全体をしっかりと覆い固定します。足首のぐらつきを抑え、段差や大きな石が転がる路面でもバランスを保ちやすく、捻挫予防や足裏へのダメージ軽減に効果的です。重い荷物を背負った縦走、岩場、鎖場、雪山など、本格的で険しい登山に適しています。
2. 山とスタイルに合わせた「ソールの硬さ」を選ぶ
トレッキングシューズのソール(靴底)の硬さは、地面の凹凸を感じにくくし、疲労軽減にも繋がります。
柔らかめ
スニーカーのように足の動きに合わせてソールがよく曲がるため、歩きやすさに優れます。比較的整備された平坦な道、里山ハイキング、キャンプなどに適しています。ただし、岩場などの不安定な足場では疲労が溜まりやすく、転倒のリスクも高まります。
ワークマンの「高耐久アクティブハイク」はソールの柔らかさが特徴とされています。
中間程度の硬さ
適度な曲がりやすさで、日帰り登山や低山歩き、不安定な岩場を歩くのに適しています。ミッドカットの登山靴に多く見られます。
ワークマンの「トレックシューズエンリル」のソールは、スニーカーより硬い印象ですが、本格的な登山靴よりは柔らかいと評価されています。
硬め
ソールがほとんど曲がらず、岩場などの小さな足場にもしっかりと乗り込むことができ、安定感があります。重い荷物を背負う縦走や、岩稜帯歩きといった本格的な登山に最適です。
3. 必須機能「防水性・透湿性」を確認する
山の天気は変わりやすく、急に雨に降られたり、ぬかるんだ道を歩くことも少なくありません。そのため、水の侵入を防ぐ「防水性」と、汗による蒸れを外に逃がす「透湿性」は、登山靴に必須の機能です。
**ゴアテックス(GORE-TEX)**などの防水透湿素材は、外部からの水を防ぎつつ、靴内部の湿気を効率よく外に逃がす構造になっているため、常に快適な状態を保ちやすくなります。多くの有名ブランドの登山靴に採用されており、濡れた岩場や木道でも滑りにくい独自のソールシステムと組み合わせることで、転倒防止にも役立ちます。
ワークマンの登山靴には、独自の防水素材「イナレム(INAREM)」や「SplaTECH」、「DIAMAGIC DIRECT®」などが使われています。これらは撥水・防水加工が施されており、雨や雪の侵入を防ぎます。
4. 「サイズ」は普段より少し大きめが基本
登山靴は、普段履いている靴のサイズよりも0.5cm〜1.0cm程度大きめを選ぶのが基本です。これは、特に下り坂で足が前方へ滑り、つま先が圧迫されて痛みやトラブルの原因になるのを防ぐためです。
また、登山では衝撃吸収や疲労軽減のために厚手の登山用ソックスを履くことが推奨されています。この靴下の厚みも考慮に入れる必要があります。
正しいサイズ確認のステップは以下の通りです。
- 登山用靴下を履いて、靴ひもを緩めた靴に足を入れる。
- つま先が靴の先端に触れるまで足を入れ、「つま先トントン」で足の先端を靴の先端に付けます。
- かかとに指一本分(約1~1.5cm)の余裕があるか確認します。余裕がない場合はサイズが小さい可能性があります。
- 次に、かかとを靴に合わせ、つま先側から順に靴ひもをしっかり締めます。足の甲や横に不快な締め付けがないか確認しましょう。
5. 「フィット感」は実店舗で徹底的に確認する
足の形や大きさは人それぞれ異なり、偏平足や外反母趾といった悩みを抱えている方もいます。そのため、登山靴は必ず実店舗で試し履きをして購入することが強く推奨されます。
足囲(ワイズ)の計測
足の幅を示す「足囲」は、JIS規格でA〜EEEEまでの8段階に分かれています。D〜Eあたりが標準とされ、EE以上が「幅広タイプ」とされています。自分の足囲を測り、幅広タイプであれば「ワイドモデル」の選択肢を検討しましょう。日本のメーカーは比較的幅広、海外メーカーはスリムな足型が多い傾向にあります。
測り方
平らな場所に立ち、親指側と小指側の最も出っ張っている部分をメジャーで一周計測します。この長さが「足囲」です。
靴紐の正しい結び方
靴紐の結び方一つで、歩き方や疲労感が大きく変わることがあります。つま先から足首の方にかけて、少しきつめにしっかりと締め上げることで、足首が固定され、怪我の予防にも繋がります。
インソールの活用
インソールは必須ではありませんが、足裏(土踏まず)の形に合わせたインソールを入れることで、足へのフィット感が向上し、疲れを軽減してくれる効果が期待できます。
店員への相談
登山用品店の販売員は専門知識を持っているため、登山経験や登りたい山のタイプなど、自分の情報を伝えることで、適切なアドバイスを受けることができます。
6. 「デザイン」と「機能性」のバランス
レディース向けのトレッキングシューズは、メンズやユニセックスモデルに比べて、シックなものからカラフルで可愛らしいものまで、おしゃれなデザインのモデルが多く展開されています。デザイン性に優れたシューズは、私服と組み合わせてタウンユースとしても活躍します。
しかし、デザインだけでシューズを選んでしまうと、歩きにくさや足への負担の原因になりかねません。まずは機能性やフィット感を最優先し、その上で好みのデザインを選ぶことが大切です。
7. 「メンテナンス」で寿命を延ばす
登山靴の寿命は一般的に3年〜5年程度とされていますが、使用頻度や環境、そして日々の手入れによって大きく変わります。正しいメンテナンスを行うことで、お気に入りの登山靴を長く快適に使い続けることができます。
日常の手入れ
山から帰ったら、まずインソール(中敷)を出し、靴底の泥や小石をブラシで落とします。アッパー部分の軽い汚れは柔らかいブラシや濡らした布で拭き取りましょう。汚れた状態で防水スプレーをかけるのは効果がないので、必ず汚れを落としてから使用してください。
乾燥と保管
水洗いした場合は、直射日光を避け、風通しの良い日陰でしっかりと乾燥させます。保管時は、購入時の箱や密閉された袋に入れず、高温多湿を避けた通気性の良い場所で形を保つように保管しましょう。
リソール(ソールの張り替え)
登山靴のソールは擦り減るものですが、アッパー部分がまだ使える場合、ソールの張り替え(リソール)が可能です。多くの登山靴に使われている「Vibram(ヴィブラム)」ソールは張り替え可能で、靴に第二の人生を与え、環境にもお財布にも優しい選択肢です。
【女性向け登山靴】主要ブランドとおすすめモデル
様々なブランドが女性向けの登山靴を展開しています。ここでは代表的なブランドとその特徴をご紹介します。
モンベル(mont-bell)
日本を代表する総合アウトドアブランド。日本人の足型にフィットしやすい独自のラスト(木型)を採用しており、「レギュラーモデル」と「ワイドモデル」の2つの足囲を展開しています。高いグリップ力を誇るオリジナルソール「トレールグリッパー」は、乾いた道はもちろん、濡れた岩場や木道でも滑りにくいと評判です。価格も比較的手頃で、登山初心者から経験者まで幅広く支持されています。
おすすめモデル(女性向け):
アルパインクルーザー1000 Women’s
ハイカットタイプで夏の縦走やトレッキング、積雪量の少ない冬季トレッキングに適した、軽量で蒸れにくい全天候型ブーツ。
アルパインクルーザー1000レザー Women’s
ハイカットタイプで春から秋にかけての縦走、積雪期の低山ハイクなどオールラウンドに使用できる軽量な全天候型ブーツ。
マウンテンクルーザー600 Women’s
ミッドカットタイプで、日帰りや山小屋泊登山におすすめ。
トレールウォーカー Women’s
ローカットタイプで、低山ハイクやスピードハイクに。
キャラバン(Caravan)
1954年に日本山岳会のヒマラヤ遠征のために開発されたトレッキングシューズをルーツに持ち、日本で最も愛用されてきたブランドの一つです。日本人の足型に合わせた設計で、安心感のある履き心地とコストパフォーマンスの高さが特徴。
おすすめモデル(女性向け):
C4_03
女性の足に優しいソフトでスリムなミッドカットモデル。足首のホールド感がありながら、自然なソールの屈曲性が特徴。
C1_02S
ブランドの顔ともいえるロングセラーモデル。日帰りから小屋泊、富士登山まで幅広く対応するミッドカット。
シリオ(SIRIO)
日本で誕生した登山靴専門メーカーで、幅広・甲高と言われる日本人の足にフィットする登山靴を作り続けています。
おすすめモデル(ユニセックス):
P.F.441
甲から指にかけても十分なゆとりを持った「4E+」のゆったり設計が特徴。幅広・甲高の方には特におすすめの一足です。
メレル(MERRELL)
アメリカのアウトドアシューズブランドで、その履き心地の良さから多くのユーザーを魅了しています。
おすすめモデル(女性向け):
MOAB 3 SYNTHETIC MID GORE-TEX
快適性とパフォーマンス性を向上させたミッドカットモデル。
SIREN 4 MID GORE-TEX
女性特有の足型を忠実に構造化し、包み込むような履き心地を実現するロングセラーのローカットハイキングシューズ。
コロンビア(Columbia)
機能性とデザイン性を両立させながら、比較的お手頃な価格帯で人気です。独自の防水透湿機能「アウトドライ」を採用したモデルも多いです。
おすすめモデル(メンズだが女性も考慮して):
セイバー シックス ロー アウトドライ ワイド(メンズ)
ゴアテックスを使用し、雨の日でも水の侵入を防ぐ全天候型シューズ。気軽なハイキングやキャンプ、軽い登山まで幅広く活躍します。
サロモン(SALOMON)
フランス発のブランドで、軽量かつ安定感のあるシューズが特徴。特許取得の「クイックレースシステム」は、締め具合を細かく調整でき、脱ぎ履きも容易です。
おすすめモデル(メンズだが女性も考慮して):
X ULTRA 4 MID WIDE GTX(メンズ)
サロモン独自のソールテクノロジーにより、あらゆる路面で高い耐久性と安定性を発揮するミッドカットモデル。
MERPHINE トレッキングシューズ
屈曲性に優れ、安定した歩行をサポートするミドルカットシューズ。ワイズは3Eで、ウォーキングなどの普段履きからアップダウンのあるトレイルまで対応します。
THE NORTH FACE クレストン ハイク ミッド ウォータープルーフ
つま先にゆとりを持たせたラストで足先を保護しつつ、地面を掴むグリップ感覚が得られるミドルカットシューズ。フィット感と安定性が高く、初めての登山靴としてもおすすめです。
ワークマン
圧倒的なコストパフォーマンスで、登山用品市場に大きな変化をもたらしています。
高耐久アクティブハイク
税込1,900円という驚異の低価格のローカットシューズ。耐久撥水加工が施され、グリップ力も高い。低山ハイキングや整備された道での使用には十分なスペックですが、ソールの柔らかさやローカットである点から、岩場や木の根が多い本格的な登山には不向きとされています。
トレックシューズアジム
ワークマン初のミッドカットタイプの登山靴で、価格は税込3,900円(2024年4月購入時)または4,500円。独自の透湿防水素材「イナレム」を使用し、防水性と耐久性を兼ね備えています。ソールの食いつきも良いと評価されています。
トレックシューズエンリル
軽量で通気性に優れ、夏場の登山やハイキングに適したローカットモデル。足幅が広く、クッション性も高いため履きやすいとされています。
入後の「履き慣らし」も忘れずに
自宅や自宅近辺で2〜3時間程度試し履きをしたり、問題が無ければ軽く散歩に出かけたりと、段階的に履き慣らす期間を設けることが大切です。
特に革製の登山靴は、新品の状態では硬いことが多いですが、短期間ずつ履き慣らすことで、個々の足の形に馴染みます。
もし擦れや締め付けを感じる場合は、厚手のハイキングソックスを着用したり、靴ひもを正しく結び直したりするなどの対処法を試してみてください。
それでも痛みが解消しない場合は、一度フィット感を見直したり、専門家に相談して「靴のストレッチ」(木型で靴を伸ばす)を依頼できる場合もあります。
まとめ:あなただけの「最高の相棒」を見つけよう!
登山靴選びは、みなさんの登山体験を大きく左右する重要なプロセスです。単に見た目や価格だけで選ぶのではなく、「山に合った靴」と「自分の足に合った靴」の2つの軸で慎重に選びましょう。
- 目的に合わせた「カットの高さ」を選ぶ
- 山とスタイルに合わせた「ソールの硬さ」を選ぶ
- 必須機能「防水性・透湿性」を確認する
- 「サイズ」は普段より少し大きめが基本
- 「フィット感」は実店舗で徹底的に確認する
- 「デザイン」と「機能性」のバランス
- 「メンテナンス」で寿命を延ばす
必ず実店舗に足を運び、厚手の登山用靴下を履いて、様々なメーカーやモデルを試し履きしてみてください。店内のスロープや階段を活用し、登り下りでのフィット感や違和感がないかを確認することが重要です。
- 登山用靴下を履いて、靴ひもを緩めた靴に足を入れる。
- つま先が靴の先端に触れるまで足を入れ、「つま先トントン」で足の先端を靴の先端に付けます。
- かかとに指一本分(約1~1.5cm)の余裕があるか確認します。余裕がない場合はサイズが小さい可能性があります。
- 次に、かかとを靴に合わせ、つま先側から順に靴ひもをしっかり締めます。足の甲や横に不快な締め付けがないか確認しましょう。
みなさんにとって最高の「相棒」を見つけることができれば、足の痛みに悩まされることなく、歩くリズムが安定し、素晴らしい景色や自然を心ゆくまで満喫できるはずです。
登山靴選びのプロセス自体も楽しみながら、自分だけの特別な一足を見つけて、充実した登山ライフを始めてくださいね!