登山を始めるママの皆さん、こんにちは!
「登山三種の神器」の一つである登山用ザック選び、迷っていませんか?壁一面に並んだザックを前に「どれを選べばいいの?」と途方に暮れてしまう方も多いかもしれませんね。
でも大丈夫!今回は、登山初心者ママのために、快適な登山体験に欠かせないザック選びのポイントを、分かりやすくご紹介します。
・初心者ママのためのザック選びのポイントとフィッティング方法
なぜ「背負い心地の良いザック」が大切なの?
登山用ザックは、衣食住(ときには住居も!)を運ぶ、山登りにはなくてはならない相棒です。普段使いのデイバックとは違い、長時間重たい荷物を背負って歩く登山では、ザックが体に合っているかどうかが、快適性や安全性を大きく左右します。
体に合っていないザックを選んでしまうと、肩や腰、背中など、あらゆる場所に痛みが生じ、疲労が倍増してしまいます。特に、なで肩の女性の場合、肩ひもがずり落ちてきて、そのたびに直すストレスに悩まされることもあります。最悪の場合、バランスを崩して事故につながるリスクも高まります。
しかし、自分の体型に合ったザックを正しくフィッティングすることで、荷重が肩、背面、腰に程よく分散され、疲労を軽減し、ストレスのない山歩きにつながります。手で持つと重くても、背負ってみると「意外と重たくないかも」と感じられたら、それは自分に合ったフィッティングができている証拠です。
初心者ママのためのザック選びのポイントとフィッティング方法
では、具体的にどのようにザックを選び、フィッティングすれば良いのでしょうか?
①登山計画に合わせた「容量」選び
②最も重要な「フィット感」の確認
③保機能性と快適性に関わるチェックポイント
④見た目のデザインとブランド
1. 登山計画に合わせた「容量」選び
ザックを選ぶ上で最も基本となるのが「容量」です。持っていく荷物の量は山行計画によって変わるため、それに合った容量を選ぶことが肝心です。
日帰り登山
20L~30Lが一般的です。夏場の軽装や、最低限の食料・飲み物、防寒具、レインウェア、ファーストエイドキットなどを携帯する場合に適しています。初心者のママで、今後山小屋泊にも挑戦したいと考えている場合は、30Lの購入から検討することをおすすめします。
山小屋泊(1泊2日)
30L~50Lが必要です。日帰り装備に加えて、着替え、寝袋、洗面用具、数日分の食料などが加わります。山小屋の設備によって持っていくものが変わる場合もあるため、事前に確認しましょう。
テント泊(2泊3日以上)
50L~70L以上の大型ザックが必要になります。テントや寝袋、マット、調理器具、さらに多くの食料など、山の衣食住すべてを背負うため、大幅に荷物が増えます。
2. 最も重要な「フィット感」の確認
ザックは実際に試着して、体にフィットするかどうかを確認することが非常に重要です。通販での購入は、自分の体に合うことが分かっている熟練者向けであり、初心者の場合は必ず実店舗に足を運び、様々なメーカーのザックを背負ってみましょう。
背面長(はいめんちょう)の確認

ザック選びにおいて、自分の体格に合った背面長を選ぶことは極めて重要です。
背面長とは、腰骨の上から首の付け根にある一番飛び出た骨(第七頸椎)までの長さのことです。メーカーやモデルによっては、ユニセックスモデルやウィメンズモデル(女性用モデル)があり、さらに同じモデルでもS, M, Lなどのサイズ展開があるため、店員さんに相談しながら最適なものを選びましょう。
特に女性用モデルは、女性の体型に合わせてショルダーハーネスの角度や厚み、カーブなどが工夫されており、バストへの干渉を避ける設計になっています。
フィッティングの基本手順
① 全てのベルトを緩める
ウエストベルト、ショルダーベルト、チェストベルト、トップストラップの4つのベルトを、背負う前に適度に緩めておきます。
② ウエストベルトを締める
ザックを背負ったら、ウエストベルトを腰骨の少し上に乗せ、荷物の荷重が腰にしっかりとかかるように引き締め、固定します。パッドの中心が腰骨の出っ張りに当たるようなイメージです。登山では、肩だけでなく腰で荷重を支えることが非常に重要です。
③ ショルダーベルトを調整する
ショルダーベルトを引いて、肩と背中にザックがフィットするように左右対称に調整します。肩に重みが集中しないように注意しましょう。
④ トップストラップを引く
トップストラップがあるモデルでは、これを引いてザックを体に引き寄せます。これにより重心が体側に寄り、歩行が安定します。引きすぎると肩の動きを制限してしまうため、ほどよい密着感がポイントです。
⑤ チェストベルトを締める
チェストベルトは、ショルダーハーネスが肩からずり落ちるのを防ぎ、歩行中のザックの揺れを抑える役割があります。鎖骨の少し下あたりが適正位置とされており、きつく締めすぎず、ショルダーベルトが外側に開かない程度に調整します。
⑥ 重りを入れて試着する
ザックが体に合っているかを確認するためには、実際に重り(水入りペットボトルなど)を入れて背負ってみるのがおすすめです。空の状態で背負うのと、荷物を入れた状態で背負うのとでは、体感が大きく異なります。多くの登山用品店では重りを用意しているので、店員さんに尋ねてみましょう。
3. 機能性と快適性に関わるチェックポイント
容量とフィット感の次に、ザックの機能性にも注目しましょう。
防水性・撥水性
山の天気は変わりやすいため、防水性は非常に重要です。ザック自体に高い撥水性のある生地を使用しているモデルもありますが、基本的にはザックカバー(レインカバー)を併用するか、防水スタッフサックを内側に使うことで荷物を雨から守ります。ザックカバーが付属しているモデルもあるので確認しましょう。
アタッチメントとポケット
登山では様々な装備を持っていくため、それらをザックにどれだけ取り付けられるか、また収納ポケットの多さも利便性に直結します。
ウエストポケット
スマートフォンや行動食、地図、日焼け止めなど、バックパックを下ろさずにすぐに取り出したい小物を入れるのに非常に便利です。
サイドポケット・フロントポケット
飲み物やトレッキングポールなどを入れるのに役立ちます。ただし、岩場などでは引っかかったり、荷物を落としたりする可能性もあるため、状況に応じて使い分けましょう。
ハイドレーション対応
ザック内部にハイドレーションパックを収納し、チューブを外に通せるようになっていれば、歩きながらスムーズに水分補給が可能です。
通気性とクッション性
長時間ザックを背負うため、背中や肩、腰に当たる部分の通気性やクッション性も快適性につながります。背中のメッシュ素材や、厚手のクッションパッドが、汗による蒸れや体の負担を軽減してくれます。
荷室へのアクセス方式
上から荷物を出し入れする「トップローディング(雨蓋つき/ドローコード式)」、ファスナーで大きく開閉する「パネルローディング(ジッパー式)」、くるくる丸めて閉じる「ロールトップタイプ」などがあります。それぞれのタイプにメリット・デメリットがあるため、使いやすさや好みに合わせて選びましょう。
4. 見た目のデザインとブランド

もちろん、見た目のデザインや好きなメーカーから選ぶのも良いでしょう。最近はおしゃれなデザインのザックも増えています。ただし、デザインよりも背負い心地を最優先することをお忘れなく。背負い心地が同じくらいのザックで迷った場合に、デザインや機能で決めるのがおすすめです。
5. おすすめザック一覧(女性初心者向け)
15~29L(日帰りハイキング向け)
日帰り登山では、飲み物、行動食、防寒着、レインウェア、ファーストエイドキットなどが基本装備となります。
グレゴリー マヤ15L
特徴: グレゴリー「ミコ15」のレディースモデル。コンパクトながら丈夫で高性能。伸縮性の高い柔軟なヒップベルトとショルダーハーネスが特徴。
ドイター フューチュラ 25 SL / 21 SL
特徴: 女性用に設計されたSLモデル。独自の「エアコンフォートセンシック」メッシュバックパネルにより、通気性が良く、軽量でフィット感に優れます。肩幅や角度に合わせてショルダーハーネスが変化し、高いフィット感を実現。大きく開くフロントファスナーで中身にアクセスしやすい。
オスプレー Sirrus 24L / Tempest 22L
特徴: Sirrus 24LはStratos 24Lのレディースモデル。Tempest 24Lはシンプルで普段使いもしやすいデザイン。メッシュバックパネルとヒップベルトが一体化しており、アクティブな動きにも対応可能。ハイドレーションスリーブやトレッキングポール、ピッケル取り付けアタッチメントを備えています。
ミレー スイウ 22L
特徴: シンプルなデザインながら、複数のポケットやチェストストラップなど使いやすい機能を装備。高い撥水性のリップストップナイロン素材を採用し、耐久性にも優れています。軽量で日帰りハイキングや普段使い、旅行にも適しています。
コロンビア キャッスルロック 25L/20L バックパックII
特徴: 通気性の良い背面構造とコロンビア独自の撥水機能「オムニシールド」を搭載。レインカバーが付属しており、コストパフォーマンスが高いモデル。登山シーンだけでなく普段使いもできるシンプルなデザイン。
パーゴワークス バディ 22L
特徴: コンパクトながら登山に必要な機能がしっかり揃っている「神ザック」と評されます。フィット感に優れ、スマートな形状で日帰り登山から普段使いまで幅広く活用できます。
アークテリクス マンティス 26L
特徴: 山でも街でも使用できるデザインで、厚みのあるショルダーパッドとフレームシートが日帰り登山でも疲れにくい背負い心地を実現。多くのポケットがあり、26Lとは思えないほどの収納力があります。
30~49L(山小屋泊向け)
山小屋泊では、日帰り装備に加え、宿泊用の寝具、着替え、洗面用具、数日分の食料などが加わります。
ミレー サースフェー NX 30+5 W/NX 30+5 SAAS FEE
特徴: 登山初心者でも安心して使えるロングセラーモデル。女性の身体にフィットしやすい丸みを帯びた形状で、ショルダーとヒップ部分にはクッション性の高いフォームが採用されており、長時間の行動でも快適です。ハンドレストループに親指をかけられるため、腕の疲れを軽減できます。雨蓋が伸びて容量を5L増やせる機能も便利です。
グレゴリー ジェイド 33L
特徴: 女性用にカスタマイズされた背負い心地を実現する「フリーフロート・サスペンション」を採用。特大サイズのヒップベルトポケットは、必要なアイテムの出し入れが非常にスムーズです。
オスプレー カイト 38L
特徴: 女性用モデルで、背面長が5段階で調整可能。上部と側面の両方からアクセスできるメッシュサイドポケットや、両側のウエストベルトポケットなど、収納が非常に豊富。メイン収納へ直接アクセスできる大きなサイドジッパーも特徴。
グレゴリー アンバー 34L
特徴: 背面長が調整可能で、腰骨を包み込むような柔らかく幅広のウエストベルトにより、荷重をしっかりと腰で受け止められます。メイン収納のストラップやジッパーの開閉が非常にスムーズで使いやすい。
カリマー リッジ 30+ Small / 40L
特徴: 多様なトレッキングスタイルに対応する定番中型リュックサック。背面長はSmall、Medium、Largeの3サイズ展開。マチ付き前面ポケット、ジッパー付きサイドポケットなど、合計10個もの豊富な小分け収納が特徴。実際の重量よりも軽く感じる設計で、ウエストベルトとショルダーベルトは幅広く肉厚です。
ミステリーランチ クーリー 30L
特徴: メイン荷室がY字型に大きく開く「3ジップデザイン」で、荷物の出し入れや奥の荷物へのアクセスが容易。肩や腰をしっかり支え、フィット感が抜群で、ズレにくい。ウエストベルトのポケットは特大サイズで、スマートフォンも収納可能。
ドイター エアコンタクト ライト 35+10 SL
特徴: 縦走にも対応する女性用のトレッキングパック。背面パッドに通気性に優れたフォームを使用し、軽量性と快適性を兼ね備えています。体格に合わせて調整できる背面長システムと、人間工学に基づいて設計された「ECLヒップフィン」により、体へのフィット感を高め、肩や腰への負荷を軽減します。
50L以上(テント泊・長期縦走向け)
テント泊では、衣食住の全てを背負うため、テント、寝袋、マット、調理器具、食料など、必要な装備が大幅に増えます。
ミレー サースフェー 50+ ウィメンズ
特徴: サースフェーシリーズの女性用大型モデル。
ミレー サースフェー 60+ ウィメンズ
特徴: 「全てを兼ね備えている」と評されるロングセラーの定番商品。収納力、耐久性、使いやすさに優れ、腰ベルトは取り外し可能。メイン収納は上部だけでなく、中央や側面、底部からもアクセス可能。上部の雨蓋は取り外して10Lのウエストポーチとしても使えるため、テント泊時のアタックザックとしても活躍します。腰、肩、背中のクッションも分厚く、重い荷物を長時間背負っても快適です。
グレゴリー ディバ 60L / 70L
特徴: スリムなフォルムで、女性用として適応力に優れた「レスポンスA3ウィメンズ・サスペンション」を搭載。厳しくテクニカルな地形でも動きやすく、宿泊や長期滞在に最適。ハイドレーションスリーブは取り外して独立した小型リュックとしても使用可能。
まとめ:あなたにぴったりのザックを見つけて、快適な登山を!
登山用ザック選びは、登山靴と同じくらい、いや、それ以上に**「自分とのフィット感」が最も重要です。デザインの好みも大切ですが、「背負ってラク」「使ってラク」なザック**を選ぶことで、山歩きは格段に快適になります。
もしザック選びに迷ったら、**「体とのフィット感がいい」「ザック自体の重さが軽い」「山行プランに合った(好みの)仕様になっている」**という優先順位で、あなたにとっての“シンデレラフィット”のザックを見つけてください。
実際に店舗で専門のスタッフにアドバイスをもらい、重りを入れて試着する手間を惜しまないことが、後悔しないザック選びの秘訣です。ぴったりと体に合ったザックは、重い荷物を背負っても驚くほど快適で、あなたの登山体験をより豊かにしてくれるでしょう。さあ、あなたも快適なザックを背負って、新しい景色を見に行きませんか?