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夏山ゆる登山:女性のための熱中症対策と安全ガイド

「暑すぎる…」

「熱中症になったらどうしよう…」

夏の登山は絶景が魅力ですが、特に初心者女性の方は暑さや熱中症、トイレの心配など、不安が多いかもしれません。山での熱中症は非常に危険で、めまいや頭痛、重症化すると意識障害に陥ることもあります。

本記事では、登山初心者のしゅうママがしっかりリサーチ。夏山を安全に楽しむための熱中症対策を徹底解説します。

適切な水分・塩分補給快適な速乾性ウェア、そして早朝出発などの工夫で、バテずに夏山を満喫しましょう!

熱中症対策は夏山ゆる登山の最重要ポイント!

夏山ゆる登山を快適に楽しむためには、熱中症対策が最重要ポイントです。

夏の山は、たとえ標高が高くても日差しが非常に強く、低山では平地と同じくらい蒸し暑い環境になりがちで、熱中症のリスクが非常に高まります。山では、数キロの荷物を背負い、傾斜のある道を長時間動き続けることで体温が上昇し、大量の汗をかくことで体内の水分や塩分が失われやすいため、体温調節が困難になるのです。

特に、女性登山者の中には、トイレの心配から水分補給を控えてしまい、結果として脱水状態に陥りやすい傾向が見られます。

これは、疲労につながります。

登山中の脱水量「体重(kg)×行動時間(h)×5ml」で算出され、このうち70〜80%を補給する必要があるとされています。

熱中症は、めまいや頭痛、吐き気、だるさといった初期症状が見逃されやすく、進行すると意識障害やけいれん、昏睡といった命に関わる重篤な状態になることもあります。熱中症が重症化すると、発汗が止まって皮膚が乾燥し、体温が40℃以上になることもあります。

山中には病院がないため、体調の異変に気づいたら手遅れになる前に早めの処置を行うことが極めて重要となります。また、疲労や熱中症は、集中力の低下を招き、浮石やガレ場などでバランスを崩して転倒や滑落などの遭難リスクを高めるため、徹底した対策が不可欠です。

KOJIRO

実際に、夏山では疲労や熱中症を原因とする行動不能や転倒・滑落が増加しているという報告もあるよ。

快適な夏山ゆる登山を実現するためには、登山前、登山中、そして登山後にわたる熱中症対策を総合的に実践することが大切です。

1. 登山前の熱中症対策:体調を整え、万全の準備を

登山当日に慌てないよう、事前に体調を整え、必要な準備をしておくことが夏山を安全に楽しむための第一歩です。

暑熱順化(体を暑さに慣らす)

熱中症を予防するためには、体を暑さに慣らしておく「暑熱順化」が非常に有効です。夏が近づき、気温が上がり始めた時期に、その環境下でしっかり発汗と水分補給を行いながら運動することで、体が暑さに慣れていきます。

夏の登山を計画しているなら、登山の5〜10日前から、1日30分程度のウォーキングや軽い運動、入浴などで汗をかく習慣をつけましょう。これにより、体温調節機能や体液バランスが整い、汗をかきやすくなり、汗に含まれる塩分が減ることで、熱中症になりにくい体に変わっていきます。

十分な睡眠と体調管理

登山は早朝からの行動になることも多いため、前日は早めに就寝し、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。睡眠不足は体力を奪い、熱中症のリスクを高める原因となります。また、登山前に体調が優れない場合は、無理をせず計画を見直す勇気も必要です。

自分の体調を過信せず、常にチェックする習慣をつけましょう。

特に女性は、生理中にはさらに脱水状態になりやすいため、普段よりも多めの水分摂取が必要です。生理による体調不良と熱中症による体調不良の判断が難しくなることもありますので、自分自身の体調をしっかりと把握することが大切です。

涼しい早朝出発

夏山では、午前8時頃にはすでに日差しが強く、歩き始めから暑さを感じやすいです。人気の山では登山道が渋滞することもあり、日なたで立ち往生するとさらに体力を消耗してしまいます。

これを避けるためには、本格的に暑くなる前の早朝(午前7時前推奨)に登り始めるのが効果的です。早朝出発は、比較的涼しい時間帯に標高を稼ぐことができ、登山道の渋滞も避けられるため、自分のペースで歩き、木陰でこまめに小休止をとることも可能になります。

ただし、暗闇での行動は視界が狭くなるため、ヘッドライトの準備を忘れずに行い、自身のレベルに合わせて行動しましょう。

事前の水分・栄養補給

登山中の水分不足を未然に防ぐため、登り始める前にしっかりと水分を摂っておくことが大切です。朝食の他に200~500mlほどの水分を補給するのが理想とされています。ただの水だけでなく、ナトリウム(塩分)やカリウムといったミネラルが含まれるスポーツドリンク(例:ポカリスエットパウダー)などを活用すると良いでしょう。

また、脳と体を活動モードに切り替えるため、バランスの良い朝食をしっかり食べて体力をつけておくことも重要です。汗によって最も失われやすいミネラルはナトリウムですが、カリウム、マグネシウム、カルシウムなども一緒に失われるため、これらを適切に補給することが熱中症予防には不可欠です。

管理栄養士からは、夏バテ対策として、疲労回復を助けるビタミンB1(豚肉、豆腐、味噌など)や、免疫力を高めるビタミンC(赤ピーマンなど)、乳酸の発生を抑えるクエン酸(梅干し、酢、レモン、グレープフルーツなど)を意識して摂る食事が推奨されています。

2. 登山中の熱中症対策:こまめなケアが鍵

登山中は、体力の消耗が続き、熱中症のリスクが最も高まる時間帯です。ちょっとしたケアが快適さと安全を左右します。

こまめな水分・塩分補給

「喉が渇いた時に飲む」のでは、すでに脱水が始まっている状態です。喉が渇く前のこまめな水分・塩分補給が最も重要です。少なくとも1時間に1回は水分を摂取するよう心がけましょう。一般的な夏の登山では、1時間あたり500〜700mlの水分補給が推奨されており、日帰り登山であっても合計で2〜3リットル程度の水を持参するのが理想とされています。

水分と一緒に塩分も補給することが大切で、市販のスポーツドリンクや塩タブレット、梅干しなどを活用しましょう。特に、疲労時や大量の発汗が見られる場合には、塩分濃度が高く作られている経口補水液(OS-1など)が効果的です。

ハイドレーションシステムとソフトフラスク

リュックに入れたままチューブで吸えるハイドレーションパックや、柔らかくて折りたためるソフトフラスクは、体を止めずに歩きながら水分補給ができるため、行動中の脱水を防ぐのに最適です。

モンベルからは「トレール ウォーターパック」が提供されています。

しゅうママ

ちょっと洗いにくいし乾かしにくいみたいだけど。

手作り経口補水液について

自宅で経口補水液を手作りすることも可能です。基本のレシピは水1Lに対し砂糖大さじ4・1/2(約40g)、塩小さじ1/2(約3g)です。レモン果汁を加えると風味が増し、クエン酸やカリウムも摂取できますが、糖濃度が上がり吸収が悪くなるデメリットもあります。

ブドウ糖を使うと、全体の糖分量を減らしつつ水分の吸収率をキープし、甘さ控えめでカロリーカットも可能です。ただし、手作りしたものは衛生面の観点から1~2日以内に飲み切りましょう。

また、市販の経口補水液はカリウムやマグネシウムの量が適切に配合されているため、ノロウイルス感染による嘔吐や下痢など、ミネラルを多く喪失している場合には、市販品の方が適しています。周囲の人が熱中症になった際の応急処置としても、手作り経口補水液は有効です。

疲れる前の定期的な休憩

疲れを感じてからでは遅いため、15分に1回程度、時間を決めて休憩を取りましょう。休憩時には、日陰や風通しの良い場所を選び、体を冷やすことを心がけてください。山によっては休憩ポイントがない場合もあるため、事前にチェックしておくと安心です。

適切な服装と体温調整

吸汗速乾性・薄手の化繊ウェア

夏山では、汗を素早く乾かす吸汗速乾素材の化繊ウェアが基本です。綿素材は汗で濡れると乾きにくく、汗冷えや低体温症のリスクを高めるため避けましょう。肌の露出を抑えるため、長袖の着用がおすすめです。

パタゴニアの「キャプリーン クール・ライトウェイトシャツ」は、超薄手でペラペラながら、速乾性はピカイチで、木に引っかかっても穴が空きにくく頑丈なため、暑がりの人にも快適です。

THE NORTH FACEの「ロングスリーブドライクルー」も極薄手で、肌に水分を残さないダブルフェイス構造を持ち、半袖Tシャツの下に重ね着するインナーとして適しています。

下着

汗を外に出し汗冷えやベタつきを軽減してくれる、ドライレイヤーの定番シリーズです。

レイヤリング

登山では気象条件がめまぐるしく変化するため、アウター・ミドル・ベースの3層で構成されるレイヤリング(重ね着)が基本です。

登り始めは暑くても、標高が上がって風が吹くと山頂では冷え込むことがあるため、フリースなどの防寒着も必要になる場合があります

Patagonia(パタゴニア)の「フーディニ・ジャケット」のような超薄手のウィンドブレーカーは、風を防ぎつつも着ていても暑くならないため、暑がりな方におすすめです。

https://www.patagonia.jp/product/womens-houdini-windbreaker-jacket/24147.html

ワークマンの「AERO STRETCH クライミングパンツ」は、薄手で動きやすく安価ですが、撥水ではないため高山には不向きな場合があります。

パタゴニアの「バギーズショーツ」は耐久性と撥水性に優れ水陸両用ですが、虫刺されやケガ予防のためタイツと組み合わせることが推奨されています。

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帽子・ネックゲイター・サングラス

強い日差しや紫外線から頭部や首元、目を守るためのアイテムは必須です。

つばの広い登山用ハットやキャップは、直射日光を遮り、顔の火照りや日焼けを軽減します。首元はネックゲイターや、濡らして使う冷感タオルで保護しましょう。サングラスは、紫外線から目を守り、目の疲労や熱中症の一因となる光刺激を軽減します。

KOJIRO

遮熱・換気効果がない帽子を着用し続けると逆効果になる場合もあるよ。

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扇子の活用

意外なアイテムですが、扇子を携行することもおすすめです。顔の周りを飛び回る虫を遠ざける効果があるほか、顔を仰ぐことで熱中症予防にも役立ちます。一時的な日傘代わり(日傘自体も体感温度を3~7度下げる効果がある)や、バーナーの風除け、焚き火の火起こしなど多用途に活用できます。

虫除けスプレー

ディート30%配合のものや、顔周りにはイカリジン成分のものを使い分け、ハッカ油なども併用すると効果的です。

ディート30%配合の製品は、蚊、ブヨ、マダニ、ヤマビルなどに対して効果が高いとされています。

顔周りや肌の弱い方、小さな子供にはイカリジン15%配合のものがおすすめです。蚊、ブヨ、マダニに有効で、8時間ほど効果が持続するものもあります。

ハッカ油も虫を寄せ付けにくくする一定の効果がありますが、単体では刺される可能性もあるため、ディートとの併用が推奨されています。

冷却グッズの活用

暑さを感じた時に体をひんやりさせる冷却グッズは非常に有効です。特に熱中症対策には、首筋、脇の下、股の付け根など、太い血管が通る場所を冷やすと効果的です。

水に濡らすだけで涼しくなるタオルや、冷却スプレー、瞬間冷却パックなどを活用しましょう。ハッカ油入りの虫除けスプレーを首筋などにスプレーすると、ひんやりと気持ち良い涼感を得られます。

行動食での栄養補給

登山中はこまめに行動食を摂り、体に必要な栄養を補給しましょう。

疲労回復を助ける糖質や、汗で失われやすいミネラル、特に塩分の補給が重要です。塩タブレットや塩飴、あるいは梅干しなども効果的です。

天候変化への備え

夏山は天候が急変しやすく、午後には積乱雲が発生して夕立や雷に見舞われることがあります。天気予報(特に山の気象情報がわかるウェブサイト)をこまめに確認し、ゴアテックス素材などの防水性の高い雨具(上下セット)は必ず携行しましょう。

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また、ウィンドブレーカーなど防寒着も、風による体温低下を防ぐために重要です。

雷が発生しやすい地域や時期(6月〜9月)には特に注意し、雷検知器「雷報」のようなアイテムの活用も検討できます。

無理な登山は避ける

疲労や熱中症は、行動不能や転倒、滑落といった遭難に直結するため、決して無理はしないことが大切です。自分の体力や経験、体調に合わせて、余裕のある登山計画を立てましょう。

グループ登山での配慮

複数人で登山する際は、一番体力の弱いメンバーにペースを合わせるのが基本です。

リーダーは、メンバー一人ひとりの体調変化に細心の注意を払い、特に女性がいる場合は、トイレ休憩をこまめに設けるなど、配慮することが重要です。女性はトイレの心配から水分摂取を控える傾向があるため、こういった配慮が脱水予防にも繋がります。

また、熱中症の初期症状は睡眠不足や疲労と似ていて見逃しやすいため、メンバー同士で体調を気にかけて早期に異変を発見するようにしましょう。

3. 登山後のアフターケア:疲労回復と体調維持

登山を終えた後も、体のケアは熱中症対策の延長線上にある重要なプロセスです。

下山直後の水分・栄養補給

一日中歩き続けて体内に熱がこもり、大量の汗で水分やミネラルが失われた体は、回復を必要としています。

下山直後に、糖質、ミネラル、タンパク質などの栄養素と水分を補給することが、疲労回復を早める上で最も効果的です。山小屋の食事で出る味噌汁も、水分と塩分補給におすすめです。

クールダウンと睡眠

下山後の温泉は疲労回復に最適ですが、体が火照ったままだと睡眠の質が低下してしまいます。

クールダウンのために、水風呂や冷水シャワーを足腰にかけるなどして、しっかりと体を冷ましましょう。そして、十分な睡眠をとって体を休ませることが、自律神経を整え、体と脳の疲労を回復させるのに役立ちます。

また、筋力の低下も体内の水分量を減らし、熱中症のリスクを高めるため、日頃から筋力トレーニングを行うことも熱中症予防に繋がります。

アルコールの摂取に注意

行動後の「乾いた喉にビール!」は格別ですが、アルコールには利尿作用を促進する効果があり、脱水症状を進行させる可能性があります。また、脱水状態でアルコールを摂取すると、血管が拡張し、血液中の水分量が相対的にさらに少なくなり、血圧が急低下することもあります。

アルコールの分解に体内の水分を必要とするため、飲酒は控えめにし、アルコールを摂る前にはしっかりと水分補給をするように心がけましょう。

まとめ:万全の準備で夏の山を楽しもう!

登山前・登山中・登山後の熱中症対策を万全に実践することで、登山初心者女性でも安心して夏の山を満喫し、最高の思い出を作ることができます。

登山前の熱中症対策
  • 暑熱順化(体を暑さに慣らす)
  • 十分な睡眠と体調管理
  • 涼しい早朝出発
  • 事前の水分・栄養補給
登山中の熱中症対策
  • こまめな水分・塩分補給
  • 疲れる前の定期的な休憩
  • 適切な服装と体温調整
  • 冷却グッズの活用
  • 行動食での栄養補給
  • 天候変化への備え
  • 無理な登山は避ける
  • グループ登山での配慮
登山後の熱中症対策
  • 下山直後の水分・栄養補給
  • クールダウンと睡眠

暑さを恐れず、しかし甘く見ずに、しっかりと準備をすれば、夏山はあなたに快適で安全な素晴らしい体験を提供してくれます。

ぜひ参考にして、快適で安全な夏山ゆる登山を楽しんでください!